転職サービス「doda(デューダ)」の運営をはじめ、各種求人メディアや人材紹介サービスを通して転職支援を行うパーソルキャリア。グループ全体で「はたらいて、笑おう。」というビジョンを掲げ、すべての「はたらく」が、笑顔につながる社会を目指しています。また、急速な事業拡大と社員数の増加に対応するため、パーソルキャリアではNetskopeを導入することにより、社内の開発環境整備に取り組んでいます。
パーソルキャリア株式会社は、「人々に『はたらく』を自分のものにする力を」をミッションとし、転職サービス「doda」やハイクラス人材のキャリア戦略プラットフォーム「iX」をはじめとした人材紹介、求人広告、新卒採用支援などのサービスを提供しています。
「テクノロジー本部は、転職を含めた複数のサービスを通じて、お客様の『はたらく』をテクノロジーで支えるために設置されました。3年ほど前に誕生した組織ですが、すでに400名を超え、エンジニア、データサイエンティスト、プロジェクトマネジャーなど、専門職の社員が所属しています」と、デジタルテクノロジー統括部 デジタルソリューション部シニアエンジニア 柿田一氏は語ります。
柿田氏によると、テクノロジー本部に所属するエンジニアたちは、一般的な情報システム部門とかなり異なる人材揃いです。「SIer出身の方から、ベンチャー企業の元社長、研究者などさまざまなバックグラウンドを持つ社員が多いです。組織規模が異なる会社から入社しているので、カッチリと標準化されていない環境で、自由に開発をしてきた人たちが多いですね」(柿田氏)。しかしパーソルキャリアが採用していた従来のITセキュリティの仕組みでは、テクノロジー本部のエンジニアがそれぞれ利用するクラウドサービスに対応しきれていませんでした。
またパーソルキャリアではエンジニアリング専用の環境が存在せず、転職希望者の個人情報も保持する堅牢な環境にて開発を行う必要がありました。情報漏洩やセキュリティインシデントに対する対策を講じた堅牢なセキュリティの維持を最優先するべく、外部のクラウドやWebサービス利用する場合においては膨大な手続きが必要となります。そのため申請は、2カ月近くかかることもあり、開発スピードの悪化とそれによるモチベーション低下のリスクが課題となっていました。
「そもそも近年のクラウドシフトで、データとシステムの大半はクラウド上にあります。加えて、コロナ禍の影響により社員はほとんどオフィスにいません。操作をする人も操作するデータも全部社外にある以上、従来の境界型セキュリティは全く無意味で何も守れないと感じていました。現在の環境に即したセキュリティを構築する必要があったのです」と柿田氏は振り返ります。
*2022年7月取材当時の情報です
POCの実施を決定してからのNetskope社の対応スピードは我々の想定を遥かに凌駕するものでした
テクノロジー本部の他のメンバーたちも柿田氏と同様の課題を感じていたといいます。そこで情報収集を行い、たどり着いたのがNetskopeです。「もともとグループの情報システムを担当するパーソルホールディングスがCASBの導入を検討する中で、Netskopeさんにお声かけをしていたんです。そこで、当部署を兼任している弊社メンバーを経由して連絡先をもらい、私の方でもご連絡をさせていただきました」(柿田氏)
当初は「他社の製品も検討した」という柿田氏でしたが、「我々が期待するスピード感でPoCの実施にまで至ることが出来たのはNetskopeだけ」と語ります。その理由について、柿田氏は以下の3点を挙げます。
まず①については、テクノロジー本部のエンジニアたちがさまざまなクラウドサービスを使っていたことに加え、本部以外の社員の間でも「こんなSaaSを使いたい」という要望が出ていたことが背景にあります。これまで外部のクラウドサービスを使う際は、従来の所定手続きを踏む必要がありましたが、数千のクラウドサービスに対応するNetskopeを導入することで、より大きな効果を得る事ができると期待されました。
次に②に関連して、従来のネットワークセキュリティ機器の様に設定に専門スキルを要する場合、要員の育成コストが必要になるだけでなく、属人化などの問題を抱える事にもなります。そういった問題をあらかじめ排除出来るように「セキュリティツールはとっつきやすいこと、使いやすいことが重要だと考えていますが、Netskopeはここが抜群でした」と柿田氏は語ります。
そして③について、柿田氏はNetskope Japanの担当者のレスポンスの速さ、課題の把握力、提案力を高く評価。「気持ち的には1番の要因」と振り返ります。クラウド化のメリットの一つにすぐにサービスを利用出来るという点があると思いますが、こういったセキュリティソリューション、サービスについても同じだと考えており、まずは触ってみたいという要望に非常にスピーディに応えて頂いたことやメールでの相談に対するチャット並みのレスポンスに加えて、相談内容を汲み取った上で要点を押さえた提案をしてくれるのも好印象だったそうです。
特にNetskopeはエンドポイントで動作する製品であり、利用者がインタラクティブな端末操作の中で期待する応答を得られない様な場合、Netskopeとの依存関係有無の調査や実際に関連していた場合にいかに迅速に回避策を講じるかは、導入にあたって利用者の理解を得る為の非常に重要なポイントで、この点が正式導入を決定する大きなポイントであったと振り返ります。
結果として2020年の7月ごろから検討を始め、8月に検証環境を用意してPoCを開始、そして9月末ごろに社内の稟議プロセスを経て、プロジェクトが動き始めました。
セキュリティツールはとっつきやすいこと、使いやすいことが重要だと考えていますが、Netskopeはここが抜群でした。
Netskopeの導入により、パーソルキャリアでは開発環境を大幅に効率化しつつ、DLPをしっかり整備できるようになりました。「定量効果の測定はこれから」と柿田氏は語りますが、これまで2か月かかっていた申請手続が「ゼロ」になったことは特筆すべき効果です。「従来、情報セキュリティ部門の審査待ちだったものが、各部内のマネージャ-承認で済むようになりました」(柿田氏)
加えて、各種クラウドサービスに対する情報セキュリティ部門の姿勢も変化してきたといいます。「今では担当者一人ひとりがNetskopeを導入する事で、従来の申請手続きを大幅に削減出来る環境を用意した旨を宣伝すると共に、クラウドサービスの利用申請者に対してレコメンドしてくれるようになりました。こうした動きが標準化されていけば、定量的な効果も目に見えて出てくると思います」と柿田氏は期待します。
現在、パ ーソルホールディングスの方でもNetskopeのCASBを導入しようと する動きがありますが、先行して利用を行う事で蓄積している知見や ノウハウを共有しつつ、NetskopeやCASB製品を導入する事を目的 化させず、ゼロトラストやSASEにきちんとリーチしていく流れを作って いきたいですね。
現在、Netskopeを利用しているのは主にエンジニアやプロジェクトマネジャーなどテクノロジー本部の社員です。しかし柿田氏は「ここで打ち止めにするつもりはない」として、本部を超えてゼロトラストセキュリティを浸透させたいと考えています。
「今後は法改正などにより、どんな職種でも自宅などで仕事ができるようになっていくと考えます。そういった環境や法律の変化にテクノロジーが追いつかないということは、あってはなりません」。
また、柿田氏はパーソルホールディングスのITセキュリティ部門とも協業してあるべき守り方の検討を日々行っており、個社からのボトムアップでテクノロジーを変えるアプローチを試みたいと話します。「現在、パーソルホールディングスの方でもNetskopeのCASBを導入しようとする動きがありますが、先行して利用を行う事で蓄積している知見やノウハウを共有しつつ、NetskopeやCASB製品を導入する事を目的化させず、ゼロトラストやSASEにきちんとリーチしていく流れを作っていきたいですね」。