レポートを読む:AI時代にCIOとCEOの連携を実現する方法
FinTech分野にも積極的に取り組む同社は、約400名の開発チームに柔軟性の高い開発環境を提供しながら、情報漏洩のリスクを低減することに成功している。
株式会社ジェーシービー(以下、JCB)は、日本発の国際ペイメントブランド「JCB」を運営する企業です。従来の決済サービスに加えて、非接触決済やメタバースなど最先端のテクノロジー活用にも積極的に取り組む同社では、約400名の社員がパートナー企業とともに開発チームを組み、アジャイル環境でシステムの内製を行っています。
JCB がNetskope を導入するきっかけになったのは、コロナ禍による働き方の変化でした。システム本部 デジタルソリューション開発部 部長の片岡亮介氏はこのように語ります。「コロナ禍をきっかけに、当社でもリモートワークが急速に普及しました。開発のスピードと柔軟性を維持するため、場所を問わずセキュアなアクセス環境が必要になったのです」。
JCBでは、これまでVPNを利用したリモートアクセス環境を提供していました。 しかしVPN接続では拠点が固定されてしまい、柔軟な働き方を実現するには不向きだったといいます。システム本部 デジタルソリューション開発部 開発Ⅳグループ 主任の四方和樹氏は「拠点が縛られてしまうのはもちろん、セキュリティ面でも不安がありました。自宅など社外からのアクセスが増えることで、情報漏洩リスクが高まる懸念があったのです」と当時を振り返ります。
特に懸念されたのが、開発に使われているプログラムや設計情報といった機密情報の漏洩でした。「個人情報こそ含まれていませんが、開発情報は重要な知的財産です。外部のストレージサービスなどに不用意にアップロードされてしまうリスクを、何としても防ぎたかったのです」と片岡氏。
そこでJCBは、場所を問わずセキュアなアクセス環境を提供できる、新たなソリューションの導入を検討し始めました。
大きな問題もなく、スムーズに導入することができました。Netskopeのサポート体制も充実しており、安心して導入を進められました
セキュリティ対策の強化に向けて、システム本部が着目したソリューションのひとつがCASBです。「国内外のものを含め、いくつかのCASB製品を検討しました」と片岡氏は語ります。「最終的にNetskopeを選定した理由は、その安定性と実績の高さです。セキュリティ製品は『安心』が何よりも重要です。利用者が多く、実績のあるNetskope なら安心して導入できると判断しました」。
また四方氏も「新しい製品よりも、実績がありトラブルが少ない製品を求めていました。Netskope は情報量も多く、ユースケースなども豊富に提供されていたため、導入イメージが掴みやすく、安心感がありました」と選定理由を補足します。
CASB導入を含むプロジェクトがスタートしたのは、2020年のこと。Netskopeの導入にあたり、まずはPoCが実施されました。「リモートアクセス、アプリケーションのACL、特定サイトへのアクセス制限など、さまざまな項目を検証しました。操作性も重要なポイントでしたが、Netskopeはシンプルで分かりやすく、すぐに使いこなせる印象でした」と四方氏。
PoCを含め、導入までの期間は数か月程度。「大きな問題もなく、スムーズに導入することができました。Netskopeのサポート体制も充実しており、安心して導入を進められました」と、四方氏は導入過程を振り返ります。
開発者は場所を問わず、セキュアに業務システムやクラウドサービスにアクセスできるようになりました。その結果、開発に集中できる環境が整ったと感じています
Netskopeの導入により、JCB では開発者に柔軟な働き方を提供しながら、情報漏えいリスクを低減することに成功しました。片岡氏は導入効果についてこう語ります。「開発者は場所を問わず、セキュアに業務システムやクラウドサービスにアクセスできるようになりました。その結果、開発に集中できる環境が整ったと感じています」。
四方氏も「以前はVPN接続のために拠点が制限されていましたが、Netskope導入後はその制限がなくなり、リモートワークの利便性が大幅に向上しました。また、端末の払い出しフローも簡素化され、管理者の負担も軽減されました」と、運用面でのメリットを強調します。
さらに、情報漏えい対策の強化も実現しました。「外部ストレージへのアップロード制限など、NetskopeのCASB機能によって、情報漏洩リスクを大幅に低減できたと考えています」と片岡氏。
Netskopeは、ユーザーが普段は意識することなく利用できる点も大きな特徴です。「アクセスがブロックされた際に表示されるポップアップで、初めてNetskopeが動作していることに気づくというケースもあるようです。エンドユーザーにとっては、特別な操作を必要とせず、これまで通りの感覚で業務を進められる点がメリットだと思います」と四方氏は説明します。
プロジェクトが始まった3 年前、メンバーの数は約200 人でした。現在は500 弱まで増えていますが、これまで大きな障害はありません
Netskope導入から3年以上が経過しましたが、JCBの開発環境は安定稼働を続けています。「プロジェクトが始まった3 年前、メンバーの数は約200 人でした。現在は500 弱まで増えていますが、これまで大きな障害はありません」と振り返る四方氏。また今後について期待を込めて次のように語ります。「システムの安定稼働は、我々にとって非常に重要です。特にNetskopeはネットワークの基盤となる製品なので、これからも安定稼働を維持していいただけると期待しています」。
一方、今後の課題について四方氏は次のように語ります。「まだNetskope の機能を100% 使いこなせているわけではありません。今後も新機能の活用や既存機能の見直しなどを通して、運用負荷の軽減を図っていきたいと考えています」。
片岡氏が今後の展望として指摘するのは、開発環境の自由度とセキュリティのバランスです。「ユーザーの情報収集については、できる限り自由度の高い環境を提供したいと考えています。一方で、情報の外部流出は絶対に防がなくてはなりません。これからもセキュリティと利便性のバランスを考慮しながら、最適な対応を検討していきます」。
さらに「Netskopeに関するFAQやナレッジ、導入事例など、情報発信の強化にも期待しています」と、片岡氏と四方氏は口を揃えます。Netskopeのさらなる活用に向けて、これからもJCBの挑戦は続きます。