レポートを読む:AI時代にCIOとCEOの連携を実現する方法
九州を基盤とする国内最大の広域展開型地域金融機関、ふくおかフィナンシャルグループ(以下、FFG)。「ゆたかな地域社会」の実現を目指し、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の取り組みを積極的に進めています。同グループのDXは、DX推進本部 システムソリューション部による内製開発がベースです。同部はクラウド型セキュリティプラットフォームNetskopeを導入し、内製開発環境のゼロトラストを実現。セキュリティと利便性を両立し、お客様とのデジタル接点強化、業務改革の推進を支えています。
2007年4月設立、地域に貢献し地域と共に発展するFFG。福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行、福岡中央銀行と、国内初のデジタルバンク「みんなの銀行」を中心に、証券、カード、コンサルティングなど多彩な機能が一体となり、地域社会の活性化に貢献しています。2025年4月、FFGは経営の礎として、わたしたちの価値観「あなたのいちばんに。」、存在意義「一歩先を行く発想で、地域に真のゆたかさを。」といった新たな理念体系を定めました。
FFGは、理念実現のためにDXを積極的に進めています。先進的取り組みにより「DX銘柄2025」*に地方金融グループとして唯一選定。同銘柄への選定は今回で3度目です。FFGにおけるDXは、内製開発がベースとなります。理由について、DX推進本部 システムソリューション部 部長 根上竜也氏は説明します。
「ベンダー依存のシステム開発では、顧客ニーズやデジタル技術の変化に即応できません。FFGでは、内外環境の変化に柔軟に対応できるアジリティの高い開発体制づくりを目指しています。個人バンキングアプリ、事業者ポータル「BIZSHIP」などお客様とのデジタル接点を強化するプロダクトを中心に、グループ銀行の共通業務向けシステムも内製開発しています」
同部では、生産性向上、働き方の多様化に応えるべくハイブリッドワークを導入。課題となったのが、内製開発メンバー数の増大に伴う、セキュリティと利便性の両立でした。
* DX銘柄:経済産業省を中心に、上場企業の中からDXを推進し優れたデジタル活用の実績が表れている企業を選定。
複数製品を利用する場合、運用管理が複雑化します。Netskopeは、CASBだけでなくCFW(Cloud Firewall)などワンストップで必要な機能を利用できるため、運用のシンプル化が図れます。
同部は、内製開発メンバーに対し開発用PCを支給しています。従来、在宅勤務の際にはセキュリティ確保のためマネージドルーターを貸与し、個人所有ルーターの配下に設置。PCの管理とアクセス制御は、VPN経由でSWG(Secure Web Gateway)により実施していました。従来の課題について、システムソリューション部 エキスパート 縄田公平氏は話します。
「現在、内製開発メンバー数は200名に及びます。急速な人員増加によりマネージドルーターの調達が間に合わない状態となりました。また従来型のSWGは、金融機関としての厳しいセキュリティ要件により、開発に有用なサービスであってもテナント識別・制御ができず利用が認められないケースもありました」
利便性とセキュリティの両立をいかに実現するか。着目したのが、すべてのアクセスを信用しないゼロトラストでした。同部は複数製品に絞り込み、1年間をかけてPoC(概念実証)による検証と評価を実施。その結果、クラウド型セキュリティプラットフォームNetskopeを選定しました。その理由について、システムソリューション部 山村文宏氏は説明します。
「クラウドサービスへのアクセスを可視化・制御するCASB(Cloud Access Security Brocker)にアドバンテージがありました。ファイルのアップロード、ダウンロードなどのアクションを細かく制御できるため、情報漏えい対策をとりながら、ユーザーがサービスを利用できる幅を広げることができます」
ゼロトラストの実現には、さまざまなサービスや機能が必要です。「複数製品を利用する場合、運用管理が複雑化します。Netskopeは、CASBだけでなくCFW (Cloud Firewall)などワンストップで必要な機能を利用できるため、運用のシンプル化が図れます。また、現時点で未利用のオプションも多くありますが、今後必要になった際には追加構築ですぐに対応できます。さらにMacOS、Windowsの両環境に対応しており、OSバージョンアップへの迅速な対応が行われていることもポイントとなりました」(縄田氏)
Netskope導入を機に、当部で自主的に変更できるもの、従前どおり事前申請を行うもののレベルを分けた対応をとることができるようになりました。このため対応の迅速化とともにIT管理部の負荷軽減が図れました。
2023年末に、Netskopeの導入前提で追加検証を実施。動作検証とともにオプション機能の追加も検討。防御対策を高度化するATP(Advanced Threat Protection)、リモート環境でブラウザを動作させるExtended RBIなどを追加。さらに、ネットワーク層のセキュリティを強化するために、CFW 、DNS(Domain Name System)セキュリティなどを追加し、マネージドルーターを利用しない在宅環境を実現。また、セキュリティ要件との整合性をチェックし、関係各所と調整しました。
2024年7月にNetskopeの導入を正式に決定。2024年10月から段階的にユーザーに対し利用を開始しました。「各チームによって開発ツールや環境が異なります。チームごとに先行ユーザーを中心として移行検証を進めました。サービスを利用できないといった課題に対し、ACL(Access Control List)や運用面を工夫しました。Netskopeの構築も内製で行い、知見やノウハウを得たことで、今後の運用や改善もスムーズに実施できます」(縄田氏)
Netskope導入により金融機関としてのセキュリティ確保と、エンジニアが求める最新技術活用の両立が図れます。Netskopeで制御することで、安心安全にクラウドサービスやAIツールを活用し開発効率を高めていきたいと思います。
2025年3月、Netskopeへの移行が完了。同部の開発環境は大きく変わりました。在宅勤務において、Netskopeエージェントをインストールした開発用PCを自宅個人ルーターに直接接続。エージェントにより開発用PCからの通信はすべてNetskopeを経由します。「ポイントは、社内外を問わず同じポリシーを適用し、いつでもどこからでもセキュリティを確保できるということです」(山村氏)
開発スピードの向上にも寄与しています。「社内SWG経由の場合、エンジニアからの要望でポリシー変更を行う際に、IT管理部に申請し許可を得る必要がありました。開発でさまざまなサービスを利用する都合上、我々からのリクエスト件数は非常に多くIT管理部へ負担をかけている状況でした。Netskope導入を機に、当部で自主的に変更できるもの、従前どおり事前申請を行うもののレベルを分けた対応をとることができるようになりました。このため対応の迅速化とともにIT管理部の負荷軽減が図れました。またNetskope環境に完全移行することでネットワークのパフォーマンスも改善できました」(山村氏)
開発環境におけるエンドポイントのセキュリティも強化されました。「不審な通信を始めたことを検知しブロックする機能は他社でもあります。Netskopeは、ドメイン名により判定し不審な通信が開始される前にブロックします。また許可外サービスへのログインブロックを徹底し、シャドーITの撲滅を実現できました」(縄田氏)
今後の展望について縄田氏は「オプションとして、ユーザーごとのリスクのスコア化などを実現できるAdvanced UEBAや、包括的なデータ保護ソリューションのAdvanced DLPなども試行中です。さらに一歩踏み込んだ制御を行っていきたいと思います」と話します。
また、Netskopeの導入意義について根上氏が付け加えます。「エンジニアの採用・定着では、開発環境が重要なポイントとなります。Netskope導入により金融機関としてのセキュリティ確保と、エンジニアが求める最新技術活用の両立が図れます。Netskopeで制御することで、安心安全にクラウドサービスやAIツールを活用し開発効率を高めていきたいと思います」
Netskopeによるゼロトラスト環境の構築は、ふくおかフィナンシャルグループの内製開発を支え、DX加速に貢献します。