グローバル総合金融グループの「みずほフィナンシャルグループ」。社員の能力拡張や業務プロセスの変革を通じて、お客さまや社会に新たな価値を創出するためにAX(AIトランスフォーメーション)を進めています。それを支えているのが同社の内製開発ラボです。AIエージェントの量産化を進める中で課題となったのが、セキュリティと生産性の両立でした。この課題に対応するため、内製開発環境にNetskopeを導入。AIエージェント時代の新たなリスクに対応できるセキュリティ環境を整備しました。Netskopeの伴走型運用支援サービスにより知見やノウハウを蓄積し、社内他環境への展開の可能性も模索しています。
「フェアでオープンな立場から、時代の先を読み、お客さま、経済・社会、そして社員の〈豊かな実り〉を実現する。」を基本理念に掲げる、みずほフィナンシャルグループ(以下、みずほFG)。この理念にもとづき、社員の能力拡張や業務プロセスの変革を通じて、お客さまや社会に新たな価値を創出するためにAXを積極的に進めています。それを支える新しい働き方のビジョンとして、すべての社員がAIとともに働き、使いこなすことで業務の質向上を図る「WORK WITH AI @MIZUHO」に取り組んでいます。
みずほFGでAX推進の中核を担うのがデジタル戦略部です。その背景について、デジタル戦略部長 Chief AI Officer 藤井 達人氏は話します。「2025年4月、旧デジタル企画部の改編によりデジタル戦略部が誕生しました。当初の社員20名体制から、現在はパートナー企業も含めて400名規模へ増強し、AIを中心に、〈みずほ〉全体のDXに関する企画・運営を担っています。事業部門と連携して組織横断でAXに取り組むとともに、経営層にAI活用の効果とコストを示し、合意形成を図りながら取り組みを進めています」
AIエージェント時代では、新しいセキュリティの考え方が必要になると藤井氏は話し、次のように説明します。「AIエージェントは自律的に判断・行動するため、そのふるまいを制御するガードレールが必要です。また、どのデータに基づき、どのように判断したかを追跡できないといけません。マルチエージェントの管理も求められます。AIエージェントが社内や社外とつながる時代に、みずほFGとしてAIエージェントの開発における独自の設計原則を定義したのがAIOA(AI Oriented Architecture)です。AI技術の進化に伴いAIOAも更新していきます」
みずほFGでは、〈みずほ〉のセキュリティ基準とAIOAに則ったうえで、AWSベースのAIエージェント開発基盤「みずほWiz Base」、共通機能化により効率的にAIエージェントを開発・評価・改善できる仕組み「エージェントファクトリー」、デジタル戦略部内の開発部隊「内製開発ラボ」が三位一体でAXに取り組んでいます。AIエージェント開発で課題となったのが、セキュリティと生産性の両立でした。
Netskopeでは、きめ細かく通信を分析し設定することにより、重要データを管理しつつ開発者の要望にも応えられると思いました。
AIエージェント開発では、日進月歩で進むAI技術をスピーディに取り入れることで付加価値が高まります。しかし、最新技術に触れることはサイバー攻撃のリスクと隣り合わせです。「開発者が最新技術を積極的に取り入れられる環境を維持しながら、セキュリティを確保する仕組みが必要でした」と、デジタル戦略部 テクノロジー第二チーム デジタルストラテジスト 小池 淳平氏は振り返ります。
セキュリティ確保に向けたSASE製品の選定では、Netskopeを採用することとなりました。その理由について、デジタル戦略部 テクノロジー第二チーム 担当次長 村瀬 暁俊氏は説明します。「旧みずほリサーチ&テクノロジーズ(現在は、みずほ銀行)でNetskopeの導入実績があり、 アプリケーションレイヤーでの強みや、IdP連携のしやすさなどへの評価も社内に蓄積されていました。Netskopeは社内に既存の知見・実績があったため、新たな検証コストをかけずに迅速な立ち上げが可能でした」
他金融機関の内製開発環境におけるNetskopeの豊富な導入実績や活用事例も採用のポイントとなりました。「開発環境でセキュリティ統制ツールを導入した場合、通信を一律に制御することで、開発者の生産性に影響を及ぼすことがあります。Netskopeでは、きめ細かく通信を分析し設定することにより、重要データを管理しつつ開発者の要望にも応えられると思いました。また、シャドーITやシャドーAIを可視化するCASB(Cloud Access Security Broker)は、必要に応じて通信を制御・遮断するための基盤となります。さらに重要データを扱う開発が増える中、外部流出を防ぐDLP(Data Loss Prevention)は、開発者の利便性を損なうことなく、重要データの外部流出リスクを低減できます」(村瀬氏)
AIエージェントの開発・運用に必要なさまざまな機能が、Netskope One AI Securityとして統合的に提供される点も評価したと小池氏は話し、こう続けます。「AIエージェントとMCP(Model Context Protocol)サーバー間の通信を可視化・制御するAgentic Broker、ユーザーやAIエージェントのプロンプトとAIからの応答をリアルタイムで検査・制御するAI GuardrailsなどのAIセキュリティ機能と、既存のSASE機能を組み合わせることで、AI時代にふさわしいセキュリティ環境を実現できると感じました」
TAM(Technical Account Manager) だけではなく、営業担当も含めNetskopeが1つのチームとなり支援してもらっていると感じています 。
みずほFGでは、2025年7月に内製開発環境におけるNetskopeの採用を決定。約200台規模の開発専用端末にNetskopeエージェントを展開し、2025年10月から利用を開始しました。「当初は、Netskopeの運用経験が少ないメンバーも多く、必要なスキルが十分に備わっていない状態でした。それを補うため、Netskopeの運用支援サービスであるTAM(Technical Account Manager)を利用しています」と、デジタル戦略部 テクノロジー第二チーム デジタルストラテジスト 田中 文浩氏は話します。
「TAMは、困ったときに問い合わせる一般的なサポート窓口とは異なり、Netskopeの日本人エンジニアが専任で担当し、技術的なアドバイス、ヘルスチェック、トラブル時のエスカレーション管理などを通じて伴走型で支援してくれます。機能拡張や運用改善を進めるうえで生じたさまざまな課題を一緒に解決する過程で、当社のメンバーも運用スキルやノウハウを高めています」
小池氏は、「TAMだけではなく、営業担当も含めNetskopeが1つのチームとなり支援してもらっていると感じています」と話します。
AIエージェントの行動特性を踏まえたうえで、セキュリティを確保しつつ、新たなインターフェースチャネル(お客さまとの接点)の実現に挑戦していきたいと思います。
Netskopeの導入により、これまで見えなかったAI時代のセキュリティリスクが明らかになったと、田中氏は話します。「CASBの導入により通信の全体像を把握できるようになり、セキュリティ管理の精緻化が進んでいます。業務への影響を考慮し、すぐに遮断するのではなく、まずは検証環境で影響を確認しながら対応しています」
村瀬氏は、「自律的に動作する環境では、人間が逐一把握しきれない通信が生じうるため、その可視化と制御の仕組みが不可欠です。Netskopeで通信を可視化し、必要に応じて制御することで、そうしたリスクへの対応が可能になります。また、AI関連ライブラリの脆弱性が話題になった際も、Netskopeのログから不審な通信が発生していないことを確認できました」と説明します。
今後の展望について村瀬氏は続けます。「サーバー側で動作するAIエージェントの管理強化や、開発者による重要データへのアクセス管理の適正化などが今後の課題となります。特に、AI活用が進むほど顧客データなど機微な情報を扱う場面が増えていくため、多層的な情報保護策の1つとしてDLPの適用を検討しています。それにより『検知されていない=問題が起きていない』ことを客観的に示せれば、社内への説明力向上にもつながります。また、Netskopeの活用で培った知見やノウハウを生かし、社内他環境への展開の可能性も模索しています」
みずほFGでは、お客さまに提供するAIエージェントの開発も進めています。「AIエージェントの行動特性を踏まえたうえで、セキュリティを確保しつつ、新たなインターフェースチャネル(お客さまとの接点)の実現に挑戦していきたいと思います」と藤井氏は締めくくります。
「ともに挑む。ともに実る。」というパーパスのもとAXによる新たな価値創出に挑む、みずほFG。NetskopeによるAI時代のセキュリティ基盤は、みずほFGの取り組みを通じた社会の発展にも貢献していきます。